必然その2

多恵子が笛吹きの練習をしている。

なぜだろう。

多恵子とはずいぶん前にデートした。

それから何回か会った。

電話で話をすることが多かった。

交際を申し込むがなかなか付き合うまではいかなかった。

お互いすれ違うことが多くなり、そのままの状態が続いた。

何の進展もなく、いつの間にか連絡を取らなくなっていった。

みのるがK市に来るのはもちろん多恵子のことがあったから。

そして、何よりK市に憧れていたから。

この街にやがては住むつもりでいる。

もう何10年も前に思い描いていたことを実現する。

多恵子が練習していたF公園を後に多恵子には声をかけずに

帰宅したみのるは多恵子に電話してみた。

みのる 「今日ね、K市に行ってたんだ。」

多恵子 「そうなんだ。私はF公園に行ってたよ。」

みのる 「知ってるよ。」

多恵子 「え、何で知ってるの?」

みのる 「だって、僕もF公園にいたから。」

多恵子 「そうだったの。」

みのる 「ねえ、笛吹きの練習してるの?」

多恵子 「そうだよ。」

みのる 「なぜ、笛吹きの練習してるの?」

多恵子 「内緒だよ。」

多恵子は笛吹きの練習の理由を教えてくれなかった。

それで電話を切った。

多恵子が笛吹きの練習をしていた理由をみのるはやがて知ることになる。

それは、みのると多恵子の運命的な出会いを導く鍵となることをみのるは

知る由もなかった。

必然

みのるはK市を久しぶりに訪れた。

何か理由があったわけではない。ただなんとなく誘われるままに来てみた。

そう、理由があるとすれば、紅葉のシーズンに一度来てみたいと思っていたから。

理由がないと来れない街ではなかったが、今は理由が必要になっていた。

F公園に行ってみた。そこはすごく眺めが良い。K市の北部を一望できる。

そこで、みのるは笛吹きを練習している多恵子に会う。

多恵子はこちらに気付いていないみたいだった。

多恵子は一生懸命にそれを吹いていた。

久しぶりに多恵子に会った。それもこんな場所でね。

再会

みのるは多恵子のことは忘れていた。

正確には忘れようとしていた。

多恵子と出会ってから2年近くは

彼女とはあまり仲良くしようとは思っていなかった。

昔、別れた彼女にどことなく似ていた。

だから、また同じことが始まるって思って

距離感を保っていたのだ。

それが、ある時、その距離感を埋める出来事が起こったのだ。